歯周病とは?

歯周病は、ご自分だけでは予防することはできません。なぜなら、歯周病になっているかどうかは、歯周病の検査を受け、レントゲンを撮らなければわからないからです。しかも、歯周病の原因である歯石は、自分でとることはできません。歯ぐきの中の、見えないところにも黒い歯石が付着してきます。ついていることさえ、ご自分ではわからない場合もあるのです。

ですので、ご自分でしっかりブラッシングをするのはもちろん、かかりつけの歯科医院さんで定期的に歯周病になっていないかどうかのチェックを受け、定期的に歯石取りを受けてください。それが、唯一の方法と考えてください。

歯周病は、ある程度進行するまで自覚症状はありません。
歯ぐきがやせてしまった、歯が動くようになってきたと気づいた時には、かなり進行しています。

歯周病によって、歯の周りの骨は溶けてしまいます。
それは、治療しても元には戻りません。悪くなる一方なのです。
やせてしまった歯ぐきも元には戻りません。治療といっても、進行を遅くするだけです。
歯周病の病原菌は、ずっとお口の中にいますので、油断するとすぐに再発してしまいます。

30代の方の80%以上が歯周病と言われています。
あなたも歯周病になっている可能性は、80%以上あるのです。
悪くなる前に、歯科医院にかかり予防することを強くお勧めします。

それでは、これから歯周病について詳しく説明していきます。

歯周病を解説した図

歯周病を解説した図

歯周病の説明

歯周ポケット

歯の構造

  • エナメル質:歯の表面の部分です。痛みを感じることはありません。
  • 象牙質:神経の周りにある歯の大部分を占める組織です。知覚器官があり、痛みを感じる場所です。
    歯の表面のエナメル質よりも、5~6倍虫歯になりやすいです。
    歯ぐきがやせた部分には、エナメル質のおおいがないので、しみやすくなります。(知覚過敏の原因)
  • 神経:正式には歯髄と言います。痛みを感じる神経があります。
  • 歯周ポケット:図の赤い矢印の部分です。歯と歯茎の境目には、歯周ポケットという隙間があります。
    その隙間に歯周病菌が繁殖すると、ポケットが深くなります。
    歯ぐきの炎症が起きたり、歯を支えている骨を溶かしたりします。

歯周病の進行状態

歯周病の進行状態

  • 正常な状態:歯を磨いても出血することなどほとんどありません。
  • 初期:歯の周りに歯垢や歯石が残り、歯ぐきが炎症を起こしている状態。
    歯ぐきからの出血があります。まだ、歯の周りの骨が溶けていません。
    歯垢をとって、歯石をとれば元の健康な状態に戻ります。歯周病が元に戻るのは、唯一この段階です。
    ですから、今すぐに歯科医院でチェックを受けることをお勧めします。
  • 中期:さらに歯周病が進み、歯ぐきがやせて歯の周りの骨も溶けている状態。
    食事をすると物が歯の間に挟まりやすくなります。口臭がしたり、歯ぐきが腫れたり、硬いものを噛むと痛くなります。
    治療をしても、骨は元に戻らず、逆に歯ぐきが引き締まり、見た目的には、歯ぐきがさらにやせて見えます。
  • 末期:治療をしないで進行すると、歯がぐらぐら動いて物が噛めなくなります。
    ひどく腫れてしまったり、ひどい口臭がします。治療は、抜歯になります。
    45歳以降の、抜歯の第一原因は歯周病です。あごの骨がやせているので、入れ歯でも苦労することになります。

歯周病になるとこんなにつらい

  1. 口が臭くなります。口臭の原因の80%が歯周病と言われます。ご本人は、自覚しにくいことが多いのですが、あなたもお口のにおう方を気になったことはないでしょうか?
  2. 歯ぐきがやせて、見た目が悪くなります。
  3. 冷たいものがしみやすくなります。歯ぐきがやせると、歯の根が露出してしまいますが、歯の根がしみやすい場所なのです。
  4. 歯の根が露出すると、そこが虫歯になりやすくなります。しみやすいだけではなく、エナメル質がないので、歯の根の方が、5~6倍虫歯になりやすいといわれています。歯ぐきがやせると、食べ物がはさまりやすくなるので、余計に虫歯になりやすくなります。
  5. 食べ物がはさまりやすくなります。歯ぐきがやせると、上からだけではなく、横からも食べ物がはさまりやすくなります。食事のたびに、不快です。
  6. 進行すると歯が動いて噛めなくなります。噛もうとすると痛くて噛めなくなります。
  7. 45歳以降の抜歯の原因の第1位です。歯周病は、気づかないうちに進行してしまいます。歯が動くようになっておかしい!と思ったときにはかなり進んでいます。治療しないで放置してしまうと、我慢してしまうと、抜歯の適応になるまで進んでしまいます。歯が、自然に抜けてしまったという原因のほとんどが、歯周病です。
  8. 糖尿病や心筋梗塞、脳こうそくの原因になります。低体重児出産の原因にもなります。
    ・脳卒中:2・8倍
    ・心疾患:2・7倍
    ・肺炎:4・2倍
    ・糖尿病:6・0倍
    ・早産、低体重児出産:7倍
    歯周病は、単にお口の病気というだけではなく、多くの全身疾患に悪影響を与えます。
  9. しかも、歯周病は治療しても、やせてしまった歯ぐきや骨は元には戻りません。

ですから、くどいようですが、気になる前にチェックと、必要があれば治療を受けましょう。歯周病治療は早ければ早いほど、ダメージが少なくて済むのです。

歯周病の原因

歯周病の原因は、お口の中にいるいろいろな種類の細菌の複合感染です。
それぞれが、住みやすい環境を作り出しています。
自分たちの周りに多糖体のバリアを作り、唾液の免疫や抗生物質などに負けない強固で病原性の強いバイオフィルムとなっています。
これは、歯垢とか、プラークという名前で呼ばれたりもします。

歯周病の原因菌(プラーク)

上の写真は、歯垢を顕微鏡で拡大したものです。
線状の形をした細菌や,丸い細菌が見えています。
これらは、じっとしているのではなく、活発に動いているのです。見てみると、びっくりされるかもしれません。

歯周病菌が主な原因なのですが、食いしばりがあったり、強い力のかかる状態があると、その歯の進行具合が進みやすくなります。
例えば、入れ歯の鈎歯(こうし:入れ歯の金具が引っ掛かっている歯)になっている状態などです。

残念ながら、歯周病菌は少なくすることができても、なくなることはありません。
ということは、いつでも再感染する可能性があるということです。調子が良くなっても、完全に歯周病とさよならできるわけではないのです。

タバコは歯周病によくないです

タバコのニコチンなどの成分が、歯ぐきの血管を収縮させたり、免疫の働きを低下させるために、歯周病になりやすくなります。

しかも、血管を収縮させるために、歯ぐきから血が出るなどの、自覚症状も起こりにくくなります。
そのため、急速に骨の吸収が起こり、歯を失う結果になってしまうことがあります。

全身の健康や、歯周病予防のためにも、禁煙をお勧めします。

歯周病の治療について(健康保険で治療ができます)

※歯周病は、検査をしなければ進行してきているのか、治ってきているのかがわかりません。治療に当たっては、ステップごとに歯周病の検査が必要になります。

  1. ご家庭での丁寧なブラッシング
    歯ぐきがやせていれば、歯間ブラシも使う必要があります。これをしなければ、歯周病は治りません。
    歯科医院では、効果的なブラッシングの方法を指導させていただきます。
  2. 歯石取り(スケーリングといいます。):
    歯石取りで、痛くてつらい思いをしたという方もいらっしゃるようですが、加藤歯科医院では痛みの出にくい特殊なチップを使っていますので、安心して歯石取りを受けてください。
    私も時々してもらいますが、気持ちいいくらいです。
  3. 歯ぐきの検査
    軽度の方はこれで終了できる場合があります。4ミリ以上のポケットのある方は、次の治療が必要になります。
  4. 深い部分の歯石取り(SRPといいます。):
    痛みがある場合には、麻酔をして治療します。
  5. 歯ぐきの検査:
    SRPをしたら、治り具合を調べます。落ち着いている方は、定期健診に移行します。
  6. 外科処置
    検査の結果、深いポケットが残っている場合には、外科処置をする場合があります。
  7. 歯ぐきの検査
    安定している場合は、定期健診に移行します。歯が動いたりしている場合は、連結が必要になります。
  8. 定期健診(SPTといいます):
    歯周病菌は、常に口の中にいます。油断すると、すぐに歯周病は再発します。
    ご家庭でのしっかりとしたブラッシングと、定期的な検査とクリーニングで歯周病の進行を予防していきましょう。

*保険治療における歯周病治療は、歯周病学会の出している歯周治療ガイドラインに基づいて治療を進めるようになっています。
ステップごとに検査をして、治癒状態の確認をしながらの進行になります。

札幌市東区北30条東の加藤歯科医院

北30条東8丁目のバス停から徒歩1分、駐車場13台分完備

午前 9:00 – 13:00 休診
午後 14:30 – 19:00 休診 休診

PAGE TOP