GLOSSORY

歯科用語集

  1. Home
  2. 歯科用語集
  3. Back page
C1

読み方:しーいち

初期の虫歯でエナメル質の表面に限局している状態です。
エナメル質には知覚がないため、ほとんど自覚症状はありません。
茶色や黒い着色のように見えます。
歯と歯の間の磨きにくいところや、奥歯のかみ合わせの溝の部分にできやすいです。
奥歯のかみ合わせの部分の虫歯予防には、シーラントが有効です。

治療について

処置は、削って白い材料を詰める治療(CR)がほとんどですが、経過観察する場合もあります。
C2

読み方:しーに

虫歯がエナメル質を超えて象牙質に広がった状態です。
象牙質には知覚器官があり、冷たいものや甘いものがしみるようになります。
たとえ症状がなくても、虫歯は進行しやすいので、できるだけ早期に処置をするのが、良好な結果を生みます。

象牙質はエナメル質の、5~6倍虫歯が進行しやすいので、表面に見えるエナメル質の穴よりも、中の象牙質で大きく虫歯が広がってしまう場合が多いです。
下うちしている象牙質の穴が大きくなり、表面のエナメル質が欠けて大きな穴が開き、初めて虫歯の存在に気付くこともありますが、その時にはかなり虫歯が大きくなってしまっているのは、そのせいです。

治療について

治療は、削って白い材料を詰める治療(CR)か、型取りをして小さい金属をはめ込む治療(インレー)がほとんどです。

最近は、金属の代わりにCAD/CAMインレーという金属以外の修復物も保険で適応できる場合があります。
自費であれば、セラミックインレー、ゴールドインレーなども可能です。

大きなC2の場合、治療しても神経の近くになると、しみやすい状態が続きやすいなどの不快症状が出る場合がありますので、できるだけ早期に治療することをお勧めします。
C3

読み方:しーさん

(※神経が生きている場合)
虫歯がさらに進行して、神経にまで達している場合です。

(※神経が死んでいる場合)
神経が生きていると、強くしみたり、ズキズキと痛くなったりしてきます。
神経が死んでしまうと、強くしみる感じや、ズキズキする痛みがなくなる場合があります。

しかし、それは自然治癒力で治ったわけではありません。神経が死んでしまったからです。
バイ菌の進行が止まったわけではなく、バイ菌が歯の根を通して、骨の中に入り込み化膿してきます。
その場合は、歯が浮いた感じがして噛めなくなったり、ひどく痛くなったり、腫れが出てくる場合があります。

治療について

治療としては神経をとったり、歯の根の治療をしてから、土台を立てて冠を被せるようになります。
治療には回数がかかる場合があります。
神経をとると、歯はもろくなります。こうなる前に、治療を受けるようにしましょう。
C4

読み方:しーよん

虫歯がさらに進行した場合は、歯を助けることができなくなります。
たとえ痛みなどがなくても、歯自体がばい菌の影響で、もろく柔らかくなってしまっているので、土台を立てても取れやすく、修復は困難になります。

治療について

全身状態が悪い場合を除いて、抜歯の適応になります。
抜歯後は、周りの歯の状態によって、ブリッジや義歯、インプラントなどが適応になります。
CAD/CAM冠

読み方:きゃどきゃむかん

CAD(Computer Aided Design)
CADは、直訳すると「コンピュータ支援設計」といい、これまで手作業で作成されていたモデル製作作業をパソコン上で行えるようにするためのソフトです。
今まで技工士さんが作っていたクラウンなどを、コンピューター上で設計できるようになるのです。

加藤歯科医院で使っているセレックでは、模型を画像からデジタルデータとして取り込み、それに合わせた冠をコンピュータ上で設計しています。


CAM(Computer Aided Manufacturing)
CAMは、直訳で「コンピュータ支援製造」といい、CADで作成したデータから、専用のマシンを動かし、ブロックなどから冠などを作り出すことです。

そのようなシステムで作られた補綴物(かぶせ物など)が、保険治療にも取り入れられるようになりました。
それがCAD/CAM冠です。

CAD/CAM冠は、小臼歯に適応されています。
また、第二大臼歯4本が残存している方の、第一大臼歯のかぶせ物にも適応しています。

加藤歯科医院では、何年も前からCERECを導入して、CAD/CAM冠には経験があります。
また、技工士さんもいますので、院内で短時間で作成できることも強みです。

CERECシステム

保険のCAD/CAM冠は、コンポジットレジンのブロックから削りだして作ります。
作成する前のレジンブロックです。


レジンのブロックから、このような形に削り出してくれます。


もちろん、ここから外して、研磨してお口の中に合わせていきます。

ブロックから削りだしますので、色を完全に他の歯とはわせるのは困難です。
近い色のブロックの選択になります。さらに審美的な治療をご希望の方には、オーセラやメタルボンドをお勧めいたします。

CO

読み方:しーおー

COは、シーオーと読みます。
カリエスオブザベーション:Caries Observation(う蝕の経過観察)の略です。

歯は、口の中で脱灰と修復を繰り返しています。
エナメル質に限局していて、着色はあるけれども実質欠損は起きていないごく初期の虫歯は、進行しない可能性もあります。
ですので、積極的な治療をしないで、経過観察する場合が多いです。
虫歯のリスクが低い場合には、ずっとこの状態を保つことができる場合が多いです。
FCK

読み方:えふしーけー

FCKとは、Full Cast Kroneの略で。ドイツ語になります。
英語では、「FMC(Full Metal Crown)」です。
フルキャストクラウン(full cast crown)とも言います。
言い方は、いろいろありますが、FCKと呼ぶことが多いです。
歯全体を金属で覆う金属のかぶせ物の形態をいいます。

型を取り、このような模型を作ります。


模型上で、ワックスで歯型を作り、それを金属に置き換えて作成します。

SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)

読み方:えすぴーてぃー

SPTとは?

単に言いますと、歯周病治療後の定期健診です。

病状の安定を維持するための歯科医療従事者によるプラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、咬合調整などの治療を主体とした定期的な治療です。

歯周病は、歯を支えている歯ぐきや歯槽骨にダメージを与えます。
歯周病の治療をしても、ダメージを受けた歯ぐきや歯槽骨はやせてしまい、元には戻りません。
歯周ポケットも正常の1~3ミリの範囲を超えて、4ミリ以上のところが残ってしまう場合がほとんどです。
そうなると、ブラッシングを熱心にしても、歯周ポケットの深いところなどは、きれいにすることができません。
歯石も付きやすくなってしまいます。

そのために、定期的に歯科医院へ行って、歯周病の状態を確認し、自分で磨けない部分をきれいにしてもらう必要があります。
歯石は、ブラッシングでは取れません。
衛生士さんに取ってもらう必要があります。そのために行うのが、SPTなのです。

残念ながら、初期の歯周病以外は、完全に良くなることはありません。
また、原因である歯周病菌が、いなくなることもありません。
ですから、歯周病はいつでも再発する病気なのです。
進行を遅らせ、少しでもご自分の歯を長く使うためにも、歯科医院で定期健診(SPT)を勧められたら、定期健診を受けることをお勧めします。
SRP(スケーリング&ルートプレーニング)

読み方:えすあーるぴー

歯石とは、歯についている歯垢に唾液に含まれるカルシウムやリン酸がプラークに沈着して(石灰化)、石のように硬くなったものが歯石です。

【図の解説】

下の前歯の裏側に歯肉縁上歯石がついている状態です。歯石の周りの歯肉が赤くなっているのが分かります。これは炎症のせいです。ブラッシングをすると出血してきますが、丁寧なブラッシングをしているとだんだん出血しなくなってきます。歯ぐきの形が変形しているのがわかります。歯石を取った後は、歯ぐきがやせていて、歯と歯の間に隙間ができてきています。こうなる前に、早期に治療を受けましょう。


歯垢は、歯ブラシでとることができますが、歯石はとることができません。
歯石除去用の特別な器具が必要になります。
基本的には、歯科医院でとってもらうことが必要です。
良く患者さんから、歯石除去が痛かったというお話を聞きますが、加藤歯科医院では痛みの出にくい器具を使っていますので、無痛的に歯石除去ができます。
私も時々とってもらいますが、気持ちいいくらいです。

歯石には、着く部位によって区別があります。
歯周ポケットの上につく歯肉縁上歯石と、ポケット内につく歯肉縁下歯石です。
歯肉縁上歯石が、いわゆる歯石と言われているものです。
色は薄い黄色みをおびている白になります。
タバコを吸う方は、やにが付きますので、黒っぽく見える場合もあります。
歯肉縁下歯石は、歯周ポケット内にありますので、基本的には見えません。色は、黒い色になります。

歯周病の治療は、原因の除去が基本になります。

1.お口の中の細菌を、まずは歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなどで除去していくプラークコントロールが基本です。
プラーク(歯垢)が、除去されることで歯ぐきの炎症、腫れが治っていくので歯ぐきの腫れ、出血が減少していきます。
それに伴い、口臭も減少していきます。

2.次に、歯肉縁上の歯石を除去していきます。これをスケーリングといいます。
手用の器具や、超音波スケーラーなどを用います。浅い部分についている歯肉縁下歯石も除去します。

3.その後、歯肉縁下歯石の除去をしていきます。痛みの有無によって麻酔をする場合もあります。
基本的にはキュレットという手用の器具を使って除去していきます。除去した後の歯の表面がガタガタすると、汚染物質が付きやすくなりますので、平たんにしてきます。
これを、SRP(スケーリング&ルートプレーニング)といいます。


保険治療の場合、ブラッシングの確認、スケーリングの後に、治癒期間を開けてから歯周組織の検査をしていきます。
初期の歯周病の場合は、それだけで治ってしまう場合もあります。
検査の結果、4ミリ以上の歯周ポケットがあり、歯肉縁下歯石の存在が確認された場合(歯の根の表面が、ざらざら、ガタガタしているのでわかります。)
次の段階の、SRPへ進んでいきます。
アンキローシス
アンキローシスとは、歯の根が歯根膜を経由せずに直接骨に結合している状態です。
乳歯などもアンキローシスになることがあって、ほかの部分の成長に取り残されることもあります。背が低くなったりします。
アンキローシスが起こった歯は、矯正治療などでも動かすことができません。

のちに、歯根吸収が起きて抜歯になってしまこともあります。このときに、歯と骨が結合していて抜歯にも時間がかかってしまいます。

原因は外傷などで歯根膜に障害が起きていることが考えられています。
レントゲンで歯根膜の有無を確認しますが、映らない部分もあり、判別が難しいです。
歯をたたくと、普通の状態よりも高い音がします。

歯を移植した場合にも起こることがあります。数年で、使えなくなってしまう場合もあります。
アンレー
インレーと似た名前ですが、似た治療法です。
インレーのように型を取って金属を作り、セットする治療法です。
アンレーは、歯の咬頭を含むものです。
一般的に、インレーよりも歯を覆う面積は大きくなります。
その他、歯を覆う面によって、5分の4冠、4分の3冠、FCKなどに分類されていきます。
印象(いんしょう)
印象(いんしょう)とは、歯型を取ることです。
入れ歯の場合は、歯ぐきの型を取ることになります。

精密な印象と、普通の印象があります。
精密印象では、寒天とアルジネートの連合印象とシリコンによる印象があります。
もちろん、寒天といっても寒天をもとにいろいろな成分を入れて、精密な方が取れるように調整してあるのです。
精密でない普通の印象は、アルジネートによるものがあります。寒天とアルジネートは両方とも、海藻成分というのが面白いところです。

上の歯を作るときには、下の歯がどうなっているのかわからないとかみ合わせを整えることができません。そのために、ほとんどの場合は、上と下の2か所の歯型を取ることが多いです。


寒天とアルジネートによる連合印象(精密印象)


かみ合わせのアルジネート印象


型取りは、奥に流れると苦しいですが、そうならないように気を付けて型取りをしてくれています。
インレー

インレーとは?


虫歯の治療法の一つ。
虫歯の部分を削除して、形を整えて型取りをして、模型を作成し、模型上で金属の修復物を作り、次回の調整し接着する方法です。


1.虫歯の部分を削除して、形を整えて型取りをした模型


2.模型上で金属を作成、これをインレーという


3.インレー本体

インレーの長所・メリット

・CR(コンポジットレジン)で対応できないような大きな虫歯にも対応できる
・金属なので、本体は丈夫で長持ちする
・1回目に形成型取り、2回目に金属セットと2回で治療が終了する

インレーの欠点・デメリット

・金属なので、色が目立つ
・はめ込む穴(窩洞:かどう)は、外開きに作らなければ金属が入らなくなるので、必要以上に歯を削ることになる。
・金属本体は丈夫なのだが、接着が悪くなってくると隙間から虫歯が発生する。


下の図は、インレーがお口の中に入っている状態です。

※インレーがお口の中に入っている状態


外してみると、なかはすでに虫歯ができていました。
治療したからと言って虫歯にならないわけではありませんので、定期健診を受けることをお勧めします。
ただし、インレー下の初期の虫歯は、見つけにくいのも確かです。(インレーは壊さないと外せないのです。)


※インレーを外した状態

エナメル質
エナメル質は、歯の表面にある部分です。
成分は、95%がカルシウムとリン酸です。4パーセントが水分、1%がタンパク質です。

エナメル質の99%は無機物でできています。骨は一般的に約70%が無機物です。

エナメル質の厚さは平均2~3mmと薄いですが、熱いものや冷たいもの、酸性の食品など、歯がシミると感じさせるものが、刺激に敏感な内部の層(象牙質)に触れないよう保護する役割を果たしています。

また、硬いので食物をかみ砕いたりする働きがあります。
その硬さはどれくらいかといいますと、物質の硬さを測る単位に「モース硬度」というものがあり、それぞれの硬さが1~10の10段階であらわされます。
例えば私たちに身近なものをモース硬度で測ると、チョークが「1」、鉄や真珠は「4」、ガラスは「5」という具合になります。

歯の硬さはどの程度かといえば、表面にあるエナメル質のモース硬度は「7」。
これと同等の硬さのものに水晶があります。
ちなみに骨のモース硬さは「4~5」ですから、歯は鉄やガラスよりも硬く、また体の中で最も硬い組織だということがわかります。

この強いエナメル質ですが、酸には弱く、溶かされてしまいます。
ステファンのカーブでお示しして通り、虫歯ができてしまいます。
エナメル質を大切にしましょう。

オーバーバイト オーバージェット
オーバーバイト オーバージェットとは、上下の前歯の位置関係を表します。

オーバーバイトは、前歯の上下方向の重なり具合です。
オーバージェットは、前歯の前後方向の位置関係です。

こちらの写真の状態が正常で、オーバーバイト、オーバージェットともに、1~2ミリくらいです。


こちらの写真は、オーバーバイトが大きい、深い状態です。
下顎の前歯がみえなくなっています。


次がオーバージェットが大きな場合です。下の歯が、大きく下がっていることが分かります。


オーバーバイトやオーバージェットが大きすぎると、あごの運動にも支障が出てきます。
しかし、日常生活に問題がなければ、あえて直す必要はないかもしれません。
私たち歯科医師が歯を作る場合には、オーバーバイトやオーバージェットができるだけ適正になるように歯を作っています。
オトガイ神経
下顎骨の中を走る下歯槽神経が、小臼歯の根尖の下にあるオトガイ孔から骨外に出て粘膜や皮膚や下口唇の知覚をつかさどっている神経です。
麻酔をすると、下唇の片側だけがひどくしびれてしまうのは、そのせいです。

入れ歯を作るときに、あごの骨の吸収が進んでいる方は、オトガイ孔まで吸収されている場合があります。
その場合、入れ歯で押されると、しびれを感じてしまう場合があります。
その場合は、入れ歯を削合してオトガイ孔への圧迫を取ってあげると改善します。

ちなみに、麻酔で口唇がしびれているときに、食事などすると思うように口が動かずに、口唇を思いっきり噛んでしまうことがあります。
その時は、麻酔が効いていますので痛くないでしょうが、後からひどく腫れます。痛いです。
ウインナーソーセージのような唇ならば、フランクフルトになったように腫れてしまいます。
これは、自然に治るまで待たなければなりません。
子供に多いのですが、うっかりすると大人でもなってしまいます。
口の中に、麻酔のしびれが残っている間は、やけどや咬傷に気を付けてください。
親知らず
親知らずとは、第3大臼歯,智歯のこと。
永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期はそれ以降から20代まであり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。

歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯冠周囲炎(歯の周りの歯ぐきに炎症が起きること)が起こりやすいです。
また、生えてくる方向や、あごの骨のスペースの原因で、少ししか生えてこられなかったり(半埋伏といいます)、まったく生えてこられなかったりする場合(完全埋伏)があります。


下の親知らずが、半埋伏になっている状態

食べかすが詰まりやすかったり、細菌が繁殖しやすかったりして、歯冠周囲炎や虫歯ができることがおおいです。
きちんと生えている、手前の歯にも虫歯ができやすいです。このような場合は、炎症を取ってから、 抜歯となります。


上の親知らずが、半埋伏の状態

上の親知らずが、半埋伏のような場合も、抜歯の適応になります。


下の親知らずが完全埋伏の状態

歯が完全に骨の中にあれば、細菌感染は起こりませんので、経過観察でよろしい場合が多いです。
ただし、将来、手前の歯が虫歯になってしまえば、細菌感染の可能性はあります。

もちろん、ほかの歯と同じように普通に生えている場合には、抜歯は必要がありません。

開口

読み方:かいこう

開口とは、奥歯が噛み合わさっているのに、前歯の部分がすいてしまっているかみ合わせの形態です。
下の図は開口の絵ですが、開口の状態にはいろいろな形態があります。


開口の原因

開口の原因としては

1.遺伝的なもの
2.舌を前歯に押し当てる癖がある
3.指しゃぶり
などがあります。

開口の問題点

開口になりますと

1.発音がしにくくなる
2.審美的な問題がある
3.前歯でかみ切る食事がしづらくなる。麺類など。
4.下顎前突と同じく、奥歯で誘導することになり、奥歯の負担が増えて歯の早期の喪失につながる。

といった問題点があります。(詳しくは、下顎前突をご覧ください。)
治療としては、矯正治療となります。

カイスの輪


上の図は、虫歯の原因を解説している図です。
虫歯ができるためには、歯の状態、食べ物の状態、虫歯菌の状態が3つ重なったところで、虫歯が発生するということを表しています。
これに、時間を追加して、4つの輪としている場合もあります。
3つの条件が重なっても、一瞬で虫歯ができるわけではありません。

2つの要素が重なっても、虫歯はできません。3つが重なることで虫歯ができるのです。

それぞれの要素について説明しますね。


1.歯

ステファンのカーブで、脱灰のメカニズムを解説しました。歯の要因では、虫歯ができやすい歯の状態について説明します。

・実は、食事をすることで、歯はきれいになります。自浄作用といいます。
食べ物とこすれることで、表面の汚れが取れやすいということです。
自浄作用が効きやすい部分は虫歯になりにくく,効きにくいところは虫歯になりやすいということです。
歯の表面のつるつるしている部分は自浄作用が効きやすいです。
逆に、奥歯のかみ合わせの溝、歯と歯の間の隙間、歯と歯茎の境目の3か所は自浄作用が効きにくく、虫歯の好発部位になります。
逆に言えば、このような場所をよく磨くことで、虫歯の予防ができるのです。


・口の中でも、虫歯のできやすい場所、できにくい場所があります。
ステファンのカーブで解説しましたが、唾液の緩衝能によって酸が中和され虫歯ができにくくなります。
唾液の流れの良いところは、虫歯ができにくいです。
特に下の前歯あたりは虫歯ができにくい場所になります。
逆に、下の前歯に虫歯を作っている人は、カリエスリスク(虫歯リスク)の高い人といえます。
上の前歯の外側、上の奥歯の耳下腺開口部よりも後ろの部分(第二大臼歯や、智歯)などは唾液の流れば悪く、虫歯ができやすい部分です。
逆に言うと、舌を動かしてそのあたりの唾液の動かしてあげると、虫歯のリスクは低下します。


・入れ歯を入れている方は、入れ歯と接している部分は唾液の流れが停滞します。
酸性に傾いた唾液が、戻りにくい場所といえます。ですから、入れ歯を入れていると虫歯ができやすくなってしまうのです。
逆に言いますと、食後に入れ歯を外して洗浄することで、唾液の流れをよくすることができ、長い目で見ると虫歯の予防にもつながります。


・歯周病になると、歯茎がやせて下がっていきます。
歯のエナメル質は虫歯になりにくい場所ですが、歯茎がやせると、歯の根の象牙質が露出してしまいます。
そうすると、冷たいものが染みやすくなることは知られていますが、象牙質はエナメル質の5~6倍虫歯が発生しやすくなります。
とくに、歯間ブラシを使わない場合、歯の間に虫歯菌や、食べかすが残ることになり、虫歯の好発部位となります。


・唾液の量が少ないと、虫歯のリスクが高くなります。
薬の副作用や、高齢化により、唾液の分泌量が減ってしまう場合があります。そうすると、唾液の緩衝能が低くなってしまいますので虫歯ができやすくなります。
唾液の出が悪くなってくると、のどが渇いて飴などをなめる場合がありますが、飴は長時間口腔内を酸性に保ちますので、ますます虫歯ができやすくなります。


・歯を強化することもできます。
まずは、フッ素です。フッ素を使用することで歯の表面の石灰化物:ハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトに変化し酸に対して強くなります。
(強くなるだけで、無敵になるわけではありませんので、予防処置は必要です。)
とくに、高齢者の象牙質の虫歯予防にも有効なので、日ごろにフッ素入りの歯磨き粉を使ったり、定期健診でフッ素塗布を受けることはよいことだと思います。


・シーラントで虫歯の好発部位である、奥歯の歯の溝をあらかじめ埋めてしまう方法です。
特に自分でブラッシングを上手にできないお子様には効果的です。
(お子様の乳歯や、生えたばかりの永久歯は石灰化度が低いので、シーラントやフッ素塗布は有効に予防処置になります。)


2.食べ物

・糖分を含んだ食物が,細菌の酸産生の材料となります。
ステファンのカーブで示しているように、糖分が入ってくると急激に酸性になり、ゆっくりと戻っていきます。
ですので、糖分の量よりも、回数や時間が重要な要素となります。


・飴のように、長時間口に含むものがリスクが高いといえます。
また、糖分の入っている缶コーヒーなどを、ちょっとずつ飲んでいると、口の中が酸性の状態が続き、虫歯ができやすくなります。
ドライバーの方が、前歯の部分に虫歯を作っているのは、このようなことがあるのかもしれません。
運転中の眠気覚ましにコーヒーを飲まれる場合には、無糖のものをお勧めします。


・キシリトール入りガムを食後にかむと、唾液がたくさん出てきて緩衝能が作用しやすくなります、またかむことで物理的に食べかすや、歯垢が除去されることも役に立ちます。
キシリトールは、よい作用があるのですが、キシリトール入りの飴やガムなどは要注意です。
キシリトールが入っていても、そのほかの糖分が入っていれば、虫歯リスクが高いといえます。


・甘いものは虫歯の原因と広く認識されています。
しかし、甘くないでんぷんも、唾液のアミラーゼにより、麦芽糖やブドウ糖に分解されるために虫歯の原因になります。
例えば、しょっぱいおせんべいやあられなども虫歯の原因になります。


3.虫歯菌

・虫歯菌といっていますが、いろいろな細菌が関係していますが、主なものはストレプトコッカスミュータンスとラクトバチルス菌があります。


・ミュータンス菌は、有名ですが別項で説明しています。


・ラクトバチルス菌は、乳酸桿菌と言われてます。強い酸の中でも生存できる菌で、虫歯の穴の中で生息してさらに虫歯を進ませていきます。


・人は生まれた時にはミュータンス菌を持っていません。
乳歯が生え始める1歳半~生え揃う3歳くらいまでにミュータンス菌の感染を防ぐことが大事ですが、主に家族感染などを通して多くの人がミュータンス菌に感染してしまいます。



個人的なことを書きますが、私は歯科医師、妻は歯科衛生士です。
私たち二人とも、口の中に修復物があり、虫歯リスクは高いといえます。しかし、2名の子供は、虫歯ができませんでした。
子ども自身は、プラークコントロールに熱心ではなかったですが。それは、親の二人とも上に記したような知識を持っており、自分のプラークコントロールをしっかりしていたので、子供に虫歯菌を移すことがなかったからと確信しています。
これから親になる方は、上記の知識を持っていただき、子供に虫歯菌を移さないようにしていただければ、お子さんの虫歯のリスクはかなり低くなります。
そう考えて、くどいほどの情報を書かせていただきました。

私たち歯科医師、歯科衛生士はほとんど虫歯を作りません。
それは、特別な道具や薬を使っているわけではありません。正しい知識を得て、それを実行しているだけのことなのです。知識は力です。参考になさってください。

下顎前突(反対咬合)

読み方:かがくぜんとつ(はんたいこうごう)

下顎前突とは、図のようにかみ合わせが下あごの方が前に出ている状態のことです。反対咬合とも言います。


この図は永久歯ですが、乳歯列でも下顎前突になることがあります。
その原因は、上あごの成長不足です。乳歯列の下顎前突を放置していると、上あごの成長の障害になります。
そのため、ほとんどの場合で永久歯でも下顎前突になってしまいます。
その時点で、軽度であっても思春期の体が大きく成長する時期に、下顎骨の成長はピークになりますので、下顎前突状態がさらに進んでしまうのです。
乳歯列で反対咬合があった場合、早めに治療を開始することで、良好な結果を得ることができます。開始時期は、5歳くらいが最適です。

下顎前突には、見た目の問題のほかかみ合わせに大きな問題があります。
このようなかみ合わせの場合、犬歯誘導ができなくなるのです。
多くの場合、奥歯がこすれてあごが動くようになります。
あごの関節に近い部分は、犬歯の部分と違って大きな力がかかります。
そのために、歯周病が進行しやすくなったり、治療した歯が、破折しやすくなってしまいます。

そのために、結果として早く歯を喪失してしまう方が多いです。
歯並びに関しては、見た目の問題が大きく取り上げられます。
もちろん、それもとても大切なことですが、歯の喪失のしやすさから見ますと、下顎前突や、開口は、早期に治療すべき状態であると考えます。

心配なことがありましたら、歯科医院でご相談ください。

顎関節症

読み方:がくかんせつしょう

顎関節症とは、口を開け閉めするときに顎関節の音がする、口が開けにくい、あごが痛いなどの症状がみられる病気です。
また、これらの症状のほかに頭痛、肩こり、めまい、目の疲れなどの多様な副症状がみられることもあります。

原因は、いろいろ考えられます。
ここでは、普通の歯科医院で扱うことのできる顎関節症について解説していきます。
当院でも、顎関節の不調を訴えて来院される方がいらっしゃいますが、当院で行うのはTCH(トゥースコンタクトハビット)が原因による、咬合位の変化に伴う、顎関節の不調を、保存的療法で扱える治療です。

TCHとは、簡単に言いますと、いつも上の歯と下の歯を当てている習慣のことです。
基本的には、人はリラックスしているときには、唇は閉じていても、上の歯と下の歯が、触っていないのが普通の状態なのです。
ご自分でも確認してみてください。リラックスできていると、下あごの重さで、上下の歯には隙間ができているのです。

ところが、ストレスや癖などで、ぐっとかみしめている方がいらっしゃいます。
噛みしめは、歯やあごの関節に悪いのでやめるようにしてください。
目が覚めているときは、時々意識していただいて、やっていたらやめる、やっていたらやめる。
ご自分でしていただければ治りません。
また、寝ているときに、ぐっとかみしめたり、ぐりぐりと歯ぎしりしたりする人もいらっしゃいます。
寝るときに、やらないと自己暗示をかけていただきたいのですが、それでもやまない方は、寝ている間にマウスピースを入れていただくようにします。

頭や、首、肩コリ、目の奥の痛みなどは、ぐっと食いしばっている場合の出やすい副症状です。
関節が悪くてなるわけではありません。
かみ合わせが気になって、ぐっと食いしばってしまうのも、食いしばらなければいいのです。
もちろん、いました説明に関係のない頭や首、肩コリ、目の奥の痛みもあると思われます。
食いしばりなどをやめた結果として、楽になれば、それが原因であったということです。

あごの関節は、頭の骨と、下あごの骨でできています。
下あごの骨と頭の骨の間に、関節円盤というものがはさまっています。
関節の動きを、滑らかにしてくれているのです。関節の動きは、2つあります。
一つは小さな開口時の、回転運動です。
もう一つは、大きく開口するときの平行運動です。あごの関節に指をあてて、動きを見ていただければ、小さく開けたときには関節は回転するだけですが、そこから大きく開けようとすると関節は前下方に動くのが分かります。

ずっと食いしばる癖があると、奥歯はだんだんゆっくりと、あごの骨に埋まっていきます。
つまり、かみ合わせの高さが低くなっていくのです。
矯正治療というのを聞いたことがあると思いますが、矯正治療では、弱い力をかけ続けて歯を動かしていくのです。
つまり、歯は動きます。
奥歯がだんだん埋まっていくと、あごの関節は下あごの骨の部分がだんだん上に上がっていきます。
そこで、あごの関節に症状が出てくるのです。

あごの関節の骨同士が近づくと、関節円盤が前に押し出されることが多いです。
そうすると、口の開け閉めのときに、カクとかカキっという音がしてきます。
小さな回転運動から、平行運動へ移行するときに音がすることが多くなります。
関節が、口を開けるときに円盤に乗りその時に音がして、口を閉めるときにまた音がするというのはそのせいです。
さらに噛みしめが続くと、さらに関節の距離が短くなり、関節円盤に乗りにくくなると、口の開け閉めが難しくなってきます。
痛みも伴います。パチパチという捻髪音(髪の毛を指でねじったときの音)がしてくることもあります。
口を開けるときに、鏡で見ていただくと、あごの動きが悪い方へ曲がっていくことがわかると思います。
円盤に乗って、カクっとしてから今度は逆に動いて、まっすぐになるのです。

噛みしめによって、ご自分のあごの関節を破壊してしまうのです。
その程度によって、症状や治療期間が変わります。ただ、根本的には、ご自分で噛みしめをやめるということです。

あごの関節に音はするけれども、特にほかには問題がないという場合は、様子を見ていてもいいです。
治療の対象にはならない場合があります。噛みしめをやめるという一択になります。

加藤歯科医院では、基本的にはかみ合わせの調整はしません。削ってしまったところは元に戻せないからです。
高い感じがするから削ってほしいという患者さんがいらっしゃいますが、ご自分でずっと噛みしめているから高く感じている。
その噛みしめの原因は、低くなっているから、ということがあります。そこをさらに削ってしまうと、ますます噛みしめが進んでしまうことになるのです。
もちろん、そうじゃない場合もあるかもしれません。まずは、ぐっとくいしばっていることをやめることです。

この点を、理解していただけない患者さんには治療ができません。ご了承願います。

悪い癖を減らし、寝ている間にはマウスピースを使っていただく。
奥歯がひくくなっているなどの形態の変化には、削ってかぶせる治療が必要になるかもしれません。

このようなことで、良くなる方を治療することができますが、ほかの原因や、程度がひどい場合などは専門のところ(北大歯学部)へ紹介することとなります。

また、突然あごの痛みが気になったという方もいらっしゃいます。
特に若い方に多いです。その場合、噛みしめをしないようにお話しさせていただき、無理をしないで2週間ほど様子を見ていただくと、なんともなくなってしまう方も多いのです。

顎関節症の、ご理解の一助になれば幸いです。

過剰歯

読み方:かじょうし

過剰歯とは、通常の歯の本数よりも多く形成された歯のことで、口の中に生えてくる歯と、顎の骨の中に埋まっている歯(埋伏過剰歯)があります。

過剰歯がよく見られる部位は上顎前歯部(上の歯の真ん中)

過剰歯がよく見られる部位は上顎前歯部(上の歯の真ん中)ですが、その他の部位にも、できる場合もあります。


この写真で言いますと、丸で囲まれている歯が過剰歯になります。

その影響で、あごの骨の中の永久歯(赤い矢印の歯)が、回転してしまっています。
放置しておきますと、永久歯の萌出障害になったり、正中離開(真ん中の前歯がすいてしまっている歯並び)などの不正咬合の原因になります。

治療としては、抜歯になりますが、あごの骨の中での位置などによって抜歯できる時期が変わってきます。(永久歯を傷つける可能性があるなど)
あごの骨の中に埋まっていて、ほかの永久歯の障害にならない場合は、放置しておくことが多いです。

特に、痛みなどはなく、レントゲン撮影の際に、見つかることが多いです。

カリエスリスク

細菌のリスク

細菌の量:毎日歯を磨いていると思いますが、磨いているのと磨けているのは違います。
赤く染めだしをしたり、探針で触ったりして清掃状態の確認をしてみます。
習慣的に、いつも歯の間に磨きの腰があるようでしたら、そこからう蝕は発生しやすくなります。


どんな種類の細菌が多くいるのか

ミュータンス菌

この菌の種類は紙面にコロニーを作り、低いPHでもさらに酸を作り出すことができる能力を持っています。
とりわけ、初期の脱灰には重要な役割を果たします。(参考:ミュータンス菌)

ラクトバチルス菌

通常、この菌が多いということはシュクロースの摂取量が多いということを示しています。
しばしば、う蝕の深部に見られることが多いことから、脱灰の後期に重要な役割を果たすといわれています。

細菌のリスク検査では、この2種類の菌を培養して、細菌の量を調べます。

食習慣のリスク

食習慣のリスクは、接種している食品の質(発酵性の炭水化物の量:PHを低くする)と、食品を取る頻度が問題になります。(参考:ステファンのカーブ)
食事を記録して、問題点があるかどうかを調べます。

唾液のリスク

唾液には、下がったPHを改善する(つまり虫歯の発生を予防する)という重要な役割があります。
唾液リスクには、分泌速度、とその緩衝能(PHを改善する能力)のリスクがあります。

唾液分泌速度

パラフィンをかみながら、5分間連続して唾液を試験管に吐き出してもらい、その量を測定します。
成人の正常な分泌速度は1~3ml/分です。
0.7ml/分よりも分泌が少なければ分泌速度が遅いと環がられます。

唾液の緩衝能

その接種した唾液を、試験用紙に垂らして、PHの緩衝能を調べます。一般に唾液分泌の少ない方は、その緩衝能も低いといわれています。

カリエスリスクの判定には、この3つの因子を調べることが多いです。
ご自分のリスクを調べたら、それが低くなるような行動を起こしましょう。

仮歯

読み方:かりば

歯にかぶせ物を作る場合、かみ合わせの確認のために、あるいは一時的に審美的、機能的目的のために着けるのが仮歯になります。

当然、後で外せるような弱い接着剤でつけています。

一応、歯があるように見えてしまい、これで安心して通院をやめてしまう方や、治療が終わったと誤解してずっと仮歯のままにしてしまう方がたまにいらっしゃいます。

しかし、これは危険です。以下に説明しておきます。


1.虫歯になりやすい:仮歯はそもそも最終的なかぶせ物よりも適合が悪いです。
しかも、弱い接着剤でつけていますので、つけた縁から虫歯になりやすいのです。せっかく作った土台の周りに、虫歯ができてしまうと、最悪抜歯や、再治療になってしまいます。


2.かみ合わせが悪くなる:仮歯は、柔らかいプラスチックでできています。(即時重合レジンというもので作っている場合がほとんどです。)
そのために、食事をしているとどんどんすり減っていってしまいます。
かぶせ物を作るために、最低1.5ミリくらいの隙間が必要になるのですが、それがなくなってしまうことがあります。
すり減った分、歯が伸びてしまうからです。
そうすると、かぶせ物を作り直さなければいけませんし、神経のある歯の場合、神経を取らなければならなくなってしまうこともあるのです。
かみ合わせが悪くなると、あごの調子が悪くなり、顎関節症になってしまう可能性もあります。


このようなことがあり、仮歯を長く使うと、結局再治療になり、治療期間や費用も余計にかかってしまいます。
抜歯や顎関節症のリスクもあるのです。

虫歯やかみ合わせを守るためにも、仮歯は仮歯として、短期間で使用を終わらせるようにしましょう。

いわゆる入れ歯の場合には、仮歯というものは保険では認められていません。
では、例えば前歯がたくさん抜歯になってしまって、入れ歯になるのだけれども、まずはすぐに入れてほしいという場合はどうすればいいのでしょうか?それについては、即時義歯という項目で説明させていただきます。

関連痛

読み方:かんれんつう

関連痛は奥歯で起こりやすく、隣の歯や上下の歯を間違えたりすることがあります。
上の奥歯が悪いのに、下の奥歯が痛く感じたり、下の奥歯が悪いのに上の奥歯が痛く感じたりします。
歯の痛みを伝達する際に痛みの場所を錯覚することが時々ありますが、これを関連痛といいます。

歯の痛みを脳に伝達するのは三叉神経と呼ばれる脳神経で、脳から3本に大きく枝分かれして顔面の感覚を支配しています。
三叉神経の末端から伝達される痛みの情報が脳に近づくにつれて1本の神経になるため、どこの末端から情報が伝達されているのか分からなくなることがあるせいのようです。

ご自分でもわからない場合、判別する場合には、レントゲンを見たり、噛んでもらって痛くないか?
風をかけて痛みの発生を見たり、原因歯と思われる歯に麻酔をして痛みが消えるかどうかを確認するなどして、診断をしています。

義歯

読み方:ぎし

義歯、入れ歯は、欠損してしまった歯を補うための装置です。
床と人工歯でできています。

入れ歯は部分入れ歯と総入れ歯に分かれます。
総入れ歯は、床と人工歯だけです。
部分入れ歯には、入れ歯を維持するための装置(クラスプ)と床と床を連結するバーという装置が含まれます。

入れ歯は、1歯の欠損からすべての歯の欠損に対応できます。

義歯、入れ歯の利点・メリット

すべての欠損に対応できる。
保険適応ですから、比較的安価に制作できるというメリットがあります。


義歯、入れ歯の欠点・デメリット

1.歯ぐきでかむ力を負担するので、痛みが出やすい

2.食事をすると、食べかすがはさまるので、一回ごとに外して洗うことが必要になる

3.慣れるまで違和感がある

4.クラスプのかかる歯の負担がおおきくなる

5.虫歯ができやすくなる

6.クラスプはバネのような金属ではないので(鋳物です)、だんだん緩くなってしまう。

7.クラスプの調整を繰り返すと、折れてしまうことがある

8.クラスプが金属なので、審美的ではない

9.時間がたつと歯ぐきがやせてしまい、合わなくなってくる


などの欠点があります。

審美的な欠点を補うものとして、バルプラストがあります。
下の写真のように、クラスプやバーがなく柔らかく弾性のあるプラスチックですべてができています。


お口の中に入ると保護色になって、目立たなくなります。
ただし、これでも入れ歯であることには変わりありませんので、審美的な問題以外の欠点は持っています。
ただ、加藤歯科医院では、人気が高く、保険の入れ歯よりもこちらの審美的な入れ歯を選ぶ方もたくさんいらっしゃいます。

近心・遠心

読み方:きんしん・えんしん

歯の、正中に近い部分が近心、遠い側が遠心といいます。
ですから、例えば3番目の歯は、近心側でとなりの2番目の歯の遠心に接していて、遠心側では4番目の歯の近心と接しているのです。
ちなみに、外側を頬側、あるいは唇側、内側を舌側、あるいは口蓋側といいます。

虫歯の診査のときなどに、近心(M)とか遠心(D)とか言っているのはこのことです。

金属床

読み方:きんぞくしょう

金属床とは、入れ歯の床の部分が金属でできている入れ歯です。

人前で話すことがあるので、できるだけしゃべりやすい入れ歯がよい。
とくに痛みはないので、できるだけ入れていて楽な入れ歯がいい。
そのような方にお勧めなのが、金属床義歯です。

こちらの写真は、総入れ歯ですが、部分床義歯でも、金属床を使い薄く楽に作ることができます。


上あごの部分が金属でできていて、薄くて丈夫です。
金属ですから、熱が伝わりやすく食べ物の温度を感じやすいです。
金属でできていますから、清潔です。金属には2種類あります。

コバルト金属床

入れ歯に用いる材料としては、もっとも歴史と実績のある金属です。
薄く丈夫にでき、快適な状態で長くお使いいただける入れ歯です。


チタン金属床

インプラントや人工関節などにも使われている生体にやさしい金属です。
チタンは軽いので、入れ歯自体も軽くできます。入れ心地快適です。

クラスプ
クラスプとは、入れ歯のパーツのこと。

入れ歯が動かないように歯に固定する働きがある。複数あった方が入れ歯が安定する。
入れ歯を着脱するときには、このクラスプに爪をかけて外すと外しやすい。

歯のアンダーカットに入れて、維持効果を出しますが、歯のアンダーカットが小さいと外れやすくなる。
クラスプを、しめたり、緩めたりして維持力の調整を行うが、使っているうちにゆるくなってくることが多い。
鋳造して作るので(鋳物)、しめたり、緩めたりを繰り返すと、破折する。
クラスプのかかっている歯が、虫歯になりやすいので注意が必要。

犬歯 犬歯誘導

読み方:けんし けんしゆうどう

犬歯とは?

歯並びの真ん中から3番目にある歯です。
乳歯では乳犬歯、永久歯では犬歯といわれます。
先端が3角形にとがっていて、ほかの歯よりも長く見えます。
歯の根も、ほかの歯よりも長いです。丈夫な歯です。

かみ合わせに重要な役割を果たしています。
下あごは、あごの関節で動くわけですが、歯と歯が接している場合、歯がその動きをガイドします。
歯並びが正常の場合、そのガイドは上下の犬歯がすることが多いのです。


犬歯誘導とは?

例えば、あごを右側に動かすときには、右上の犬歯と右下の犬歯だけが接して動いていきます。
これを犬歯誘導といいます。
その時に、歯にも強い横の力がかかるのですが、犬歯は

1.歯の根が長く丈夫である
2.あごの関節から離れているので奥歯に比べると強い力がかかりにくい

という2つの理由から誘導の側方力に耐えることができるのです。
奥歯が接しないことで、強い力から奥歯を守っているのです。

奥歯で誘導している場合は、あごの関節から近いために、強い力がかかりやすく、歯が壊れたり、歯周病が進みやすくなってしまいます。
反対咬合の方は、奥歯でガイドすることが多く、そのために、早期に奥歯を失いやすいということがあります。

犬歯がすり減ってくると、その近くの第一小臼歯や、第二小臼歯と一緒にガイドをするようになってきます。
これをグループファンクションと呼んでいます。

総入れ歯では、入れ歯の安定のために、どのように動かしても、奥歯前歯の3点以上が接触するようにしています。
これを、フルバランスといいますが、天然の歯ですべてが当たるようになっていては、いろいろな害があるのです。
たまに歯ぎしりの強いかたで、歯がすり減った結果、そのような動きになっている場合がありますが、これは例外です。

このように犬歯は、ほかの歯を守る大切な役割があるのです。
虫歯にしないように気を付けましょう。また、多少歯並びが悪いからと、安易に抜歯しないようにしましょう。

骨隆起

読み方:こつりゅうき

骨隆起とは、歯茎の周りや上顎の骨が盛り上がり、コブのように出っ張ったものです。
外骨症ともいわれます。上あご、下あごの骨が増殖したものです。触ると骨の硬さがあります。
粘膜が薄くなりますので、白っぽく見える場合もあります。


こちらは、上あごの骨隆起の写真(もっと小さいものも、大きなものもあります。)



こちらは、下あごの骨隆起の写真(もっと小さいものも、大きなものもあります。)


上あごは、上あごの真ん中にできるものや、奥歯の外側にできるものがあります。
下あごでは、小臼歯部の内側や、奥歯の外側にできる場合もあります。
噛んだときの刺激の蓄積により、徐々に形成されます。主に、食いしばりが強い方や歯ぎしりをされる方に多く見られます。

骨隆起で治療が必要なケース

日常生活に支障がない場合、無理に治療する必要はありませんが、以下のような場合は治療が必要となります。

1.入れ歯が当たっていたい場合。(入れ歯の方を削る場合が多いです。)
2.骨隆起があるために、入れ歯の作成が難しい場合。
3.矯正治療の装置が入れられない場合。

治療としては、物理的に骨を削除する治療になります。

コンポジットレジン(CR)
プラスチックの仲間であるレジンに、硬い粒のフィラーを混ぜている歯の詰め物の名前です。
院内ではよくCR(しーあーる)と言っています。

コンポジットレジンの利点・メリット

・虫歯の部分だけを削って、そのまま詰めることができる。

・小さな虫歯治療の、ファーストチョイスになる。

・1回で治療が終わる。

・歯の色に合わせて詰めることができるので、審美的である。

・保険でできる治療なので、比較的治療費を抑えることができる。


コンポジットレジンの欠点・デメリット

・だいぶ改善されてきていますが、歯との接着性が完ぺきではないので、時間がたつとマージン部に着色ができたり、新たな虫歯の発生がある場合がある。(その場合、またその部分だけを削って詰めなおせるのは、利点とも言えます。)

・大きな虫歯の欠損などは、使えない場合がある。

・前歯の先端など、力のかかる部分はかけやすい場合がある。


コンポジットレジンの利点を生かしていくには、定期検診を受けて、初期の虫歯を発見しできるだけ小さな削除量で治療をしていくことが、歯を長く使うためには必要なことです。
また、どんな治療でもそれをすれば2度と虫歯にならないということはありません。
その意味からも、定期検診を受けることは大切なことことです。

コンフォート


写真は総入れ歯のコンフォートです。
歯ぐきにあたる部分が白っぽいのは、生体シリコンがついているからです。
かむ力に負けて入れ歯が壊れないように、見えない部分に金属を入れて補強をしてあります。

コンフォートは、「バイテックグローバルジャパン」という会社が扱っている自費の入れ歯の種類です。

特徴としては、入れ歯の歯ぐきにあたる部分に生体シリコンを使っています。

利点としては、柔らかい材料なので、入れ歯の痛みが出にくいということがあります。
ただし、柔らかい材料を使えば、すぐに痛みがなくなるのかというとそうでもなく、他院様でコンフォートを作ったが、痛くて使えないと訴えた患者さんもいらっしゃいました。完成させるまでの、調整が大切です。

加藤歯科医院では、もう10年以上コンフォートを作り続けています。

その作り方は、まずは入れ歯を作ります。
その入れ歯の歯ぐきにあたるところに粘膜調整剤をつけて使ってもらいます。
そのときに、5つの運動もしていただきます。そうすることで、入れ歯の安定が良くなるのです。

食事をしていただきながら、何日も使っていただき、痛くなく好きなものが食べられる、入れ歯が安定して食べ物がはさまらなくなるという目標を達成してから、その入れ歯をお預かりしてコンフォート生体シリコンの入れ歯に完成させます。

いままで、入れ歯であまりかむことができなかった方は、かむ力も弱くなっていますから、トレーニングを兼ねて使っていただいてから完成させないと、後で合わなくなってしまいます。

噛むことは、脳の血流を上昇させたり、パロチンという若返るホルモンを出させたり、老化防止にもとても大切なことなのです。もし、今の入れ歯でうまく噛めなければ、コンフォートを使ってみてください。きっと満足していただけます。

サホライド
サホライドは、虫歯の進行止めです。
小さな虫歯や、歯科治療が難しいお子様に使うことがあります。

成分はフッ化ジアンミン銀です。
簡単にいいますと、フッ素と銀が入っています。
このうち、虫歯になったところに銀が吸着して、虫歯の進行を止めます。
銀が虫歯にくっついて酸化するので、虫歯だった部分が黒くなります。昔から健康保険に適用されている治療法です。

ただ、歯が黒く見えてしまいますので、最近は避けることが多くなっています。

サホライドを塗れば、虫歯が進まないわけではありません。
進みにくくなるのです。黒くなった部分をも、しっかり磨くようにしてください。
定期健診に来ていただき、必要な処置をしていきます。

むずかって、治療のできないお子様もだんだんできるようになっていきます。
それまでの期間に、使いやすい薬ではあります。味は、とても苦いです。
皮膚や唇などにつくと、やはり黒ずんでしまいますが、だんだん色は自然に取れていきます。



関連痛は奥歯で起こりやすく、隣の歯や上下の歯を間違えたりすることがあります。
上の奥歯が悪いのに、下の奥歯が痛く感じたり、下の奥歯が悪いのに上の奥歯が痛く感じたりします。
歯の痛みを伝達する際に痛みの場所を錯覚することが時々ありますが、これを関連痛といいます。

歯の痛みを脳に伝達するのは三叉神経と呼ばれる脳神経で、脳から3本に大きく枝分かれして顔面の感覚を支配しています。
三叉神経の末端から伝達される痛みの情報が脳に近づくにつれて1本の神経になるため、どこの末端から情報が伝達されているのか分からなくなることがあるせいのようです。

ご自分でもわからない場合、判別する場合には、レントゲンを見たり、噛んでもらって痛くないか?
風をかけて痛みの発生を見たり、原因歯と思われる歯に麻酔をして痛みが消えるかどうかを確認するなどして、診断をしています。

シーラント
虫歯の好発部位の一つが、奥歯のかみ合わせの溝になります。
かみ合わせの溝に食べ物がはさまりやすく、はさまったままになるとそこから虫歯ができてしまいます。

そこで、虫歯になる前にあらかじめ溝を埋めてしまい、虫歯ができにくくするために開発されたのがシーラントです。
特にお子様の場合、乳歯や、生えてきたばかりの永久歯は、石灰化度が低く虫歯ができやすいために、シーラントをお勧めしています。


写真は奥歯の模型です。
かみ合わせのところに溝があるのがわかると思います。


写真は、かみ合わせの溝にシーラントをつけた状態です。


多くのものは、光を当てて硬化しますので溝に過不足なく塗布してから硬化させます。

削って詰めるわけではありませんので、歯にとっては害はありません。
フッ素を含んでいるシーラントもあり、歯質の強化になるものもあります。

シーラントは、かみ合わせの歯を削ってしまわないように、柔らかい弱いものです。
取れてしまうことやすり減ってしまうことがありますが、削って詰めたりしていませんので、特に問題はありません。

定期健診に来ていただき、取れた場合は詰めなおしをします。

色は加藤歯科医院では、白いものを使っています。


シーラントはこのようなシリンジに入っており、先端の部分は患者さんごとに交換して使っています。

歯冠 歯根

読み方:しかん しこん

これは、歯の図ですが、このように歯は歯冠と歯根にわかれます。
歯冠は、歯の見えている部分で内側から歯髄、象牙質、エナメル質でできています。
歯根は、見えない部分で歯髄、象牙質、セメント質でできています。
歯根は歯根膜を介して歯槽骨と結合しています。これは、解剖学的歯冠、歯根です。


その他に、臨床的歯冠、歯根があります。

かむ力が強い方は、歯が歯槽骨の中にめり込んだ状態になります。(圧下されているといいます。)
そうすると、外から見たときに,歯冠の高さが低く見えます。これを、「臨床的に歯冠が低い」といいます。
臨床的に歯冠が低い時に問題になるのは、かぶせ物が取れやすいということです。
どんなに気を付けて削っても、歯の高さがない場合には、強い力で接着することができません。
そのために、短期間で外れてしまったり、外れたことに気が付かない場合には、虫歯が進行してしまう場合があります。

逆に、歯周病などで歯ぐきや歯槽骨がやせてしまった場合には、歯が長く見えます。それを、「臨床的に歯冠が長い」といいます。
歯冠が長くなり、その分歯根が短くなると、歯は動きやすくなってしまいます。



この状態の歯は臨床的歯冠長と歯根長のバランスが良い状態です。
骨にしっかり支えられているので、歯は動かずに、しっかりとかむことができます。



しかし、歯ぐきと骨がやせてしまったこの状態では、臨床的歯冠長が長くなり、歯根長が短くなります。
支えが少ないので、はがうごきやすいのは理解しやすいと思います。


硬いものが噛めなかったり、無理をすると歯が抜けてしまうこともあります。
このような場合は、歯周病が安定しているという条件が付きますが、歯を連結することで動きにくくすることができる場合があります。
ただし、その場合は、それぞれを平行に削らなければいけません。
しかも、細くなっている根本よりももっと歯冠を削らないと、かぶせ物が入らなくなります。
そのため、どうしても形成量が多くなり、神経のある歯では、神経を取る治療が必要になる場合があります。

私たち歯科医師は、このようなことも考慮に入れながら、治療をしているのです。
歯間ブラシ

読み方:しかんぶらし

歯周病で歯ぐきがやせてしまった場合、あるいは欠損部にブリッジを入れた場合には、歯間ブラシを使うことが必要になります。
歯間ブラシとは、このように歯の間を通しやすい形態のブラシがついている清掃機具です。
隙間の大きさによってブラシの大きさもいろいろあります。


この歯間ブラシは、ライオンの歯間ブラシです。デントEX歯間ブラシといいます。
使いやすく良い製品なので、当院の受付で販売しています。
もちろん、いろいろな製品がありますので、ご自分に合ったものを使われるといいと思います。

歯間ブラシの使い方

このように、歯と歯の間に差し込んで使います。この図では、内側から入れていますが、外側から入れてもよろしいです。
ただし、歯ぐきに痩せていない方が無理に使うと、歯ぐきがやせてしまう原因にもなりますので、歯科医院でドクターか衛生士さんに相談してみてください。
正しい使い方と、合ったサイズを教えてもらえます。
(歯ぐきのやせていない方は、フロスを使ってください。)

ブリッジには歯間ブラシが必要

これはブリッジの図ですが、矢印で示した部分が歯ブラシだけでは磨き残しになってしまいます。
この部分にも歯間ブラシを入れるようにしてください。歯周病でなくても、絶対に必要です。
歯間ブラシを使わなければ、そこから必ず虫歯になってしまいます。
ブリッジに隙間がなければ、食べ物がはさまらなくてよいと思われる方もいるかもしれませんが、最低限歯間ブラシが入るスペースを開けているのです。
でなければ、虫歯ができてしまうのです。

インプラントを入れた場合も歯間ブラシが必要になる場合があります。
担当の衛生士さんによく聞いてみてください。

歯垢

読み方:しこう

歯垢とは、歯磨きをしてしばらくすると歯に付着してくる白っぽいねばねばした付着物のことです。
ちょっと見には、食べかすのように見えるのですが、それは細菌の塊です。

細菌が、歯に付着すると糖分を分解して、不溶性グルカン(多糖類)を作り出します。
そうすると、それを足場として他の細菌もどんどん集積してくるのです。
そして、糖分がくるたびに酸を作り出し、歯を溶かしていくのです。
歯垢の中では、唾液の緩衝能が効きにくくずっと酸性度が高い状態が続いてしまいます。
また糖分が来なくても細菌が体内にためた糖分で酸を作り出すために、さらに継続的に歯を溶かしていくこととなります。
この機能の高いのが、ミュータンス菌です。

歯垢は、1000分の1グラムの中に、2億匹も存在するといわれています。
想像もできないような数の細菌が、口の中で増えてしまうのです。

歯垢の除去には、歯ブラシなどで物理的にとることが重要です。
洗口剤では、歯に強固に付着した歯垢を取り除くことはできません。
歯ブラシで、一本ずつ丁寧に磨いていくことが重要です。
また、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間の部分には、糸ようじ(フロス)を用いて食べかすとともに歯垢を除去するようにしてください。
歯と歯の間は、虫歯の好発部位になります。

歯垢の中には、歯周病菌も存在します。歯垢を放置していると、歯周病にもなりやすくなります。

歯科医院では、歯垢を染め出してどこに歯垢が残っているかを調べることもできます。
歯を、近心、遠心、供促、舌側の4面に分けて歯垢の付着状態を調べます。
目標は、20%以下ですが、達成できている方は残念ながら少ないのが現状です。

歯磨きは、習慣的にすることですので、どうしてもご自分の癖が出てしまいます。
磨いているのだけれども、虫歯ができてしまう、歯ぐきの出血が止まらない、などとお感じの方は、歯科医院で、ご自分のブラッシング方法のチェックを受けてください。
正しいブラッシングを、習慣にすることで、ご自分の歯を守りましょう。
老後の後悔の一つに、歯を大事にすればよかったということがあります。

歯が悪くなると健康状態も悪くなりますし、第一毎日の食事が楽しめなくなってしまうかもしれません。
ぜひ、正しいブラッシング方法を身につけるようにしてください。

歯は本来つるつるしているものです。いますぐ、ご自分の下の奥歯の内側を、舌で触ってみてください。つるつるしていれば合格です。
しかし、だんだん歯垢がついてくると、ざらざら、ぬめぬめしてきます。
そうなったときが、ブラッシングタイムです。歯垢を落とすには、空磨きで大丈夫です。
唾液は、飲み込んでも胃の酸が殺菌してくれます。そして定期健診で、歯の着色と歯石(これはブラッシングでは取れません。)を取ってもらえば、お口の健康を守ることができます。

歯根吸収

読み方:しこんきゅうしゅう

歯根吸収とは、歯の根である歯根が吸収されてしまうこと。
外側から溶けていくのが外部吸収といいます。
乳歯は、永久歯と生え変わる前に歯根の吸収が起こります。これは病的な状態ではありません。

歯の根が短くなると、歯周病で骨吸収が起きたときに動揺しやすくなるリスクがあります。
吸収が過度になると歯がだめになります。


歯根吸収になる原因

1.歯に過度な力がかかった場合

2.矯正治療で歯に力がかかった場合。ブラケットをつける矯正治療では、歯根の外部吸収が起こりやすいといわれています。軽度なものは、問題になりません。

3.歯根膜が死んでいる場合。歯の移植などでも起こりますが、歯根膜が死んでいる場合、移植後にアンキローシスが起こり、その後外部吸収が起き、歯がだめになってまうことがあります。

4.親知らず、その他の歯が萌出方向が不正の場合、周りの永久歯の歯根を溶かしてしまう場合があります。


残念ながら、歯根吸収に治療法はありません。吸収してしまった部分に歯を作ったり、進行を止めることも難しいです。

歯根膜

読み方:しこんまく

歯は根の部分が、骨に植わっているので歯が動かずにしっかり噛むことができるのです。
その歯と、骨(歯槽骨といいます。)をつないでいるのが歯根膜という膜です。とても大切な役割があります。


歯根膜の役割

1.歯を歯槽骨に固定する

2.0.1ミリから、0.3ミリくらいの厚さがあり、衝撃がダイレクトに歯槽骨に伝わるのを防ぐ。ハンモックの役割。

3.噛んでいる感覚を伝えるセンサーの役割。食べるときに重要な役割です。

4.歯を異物と認識させない役割。


外傷などで歯が抜けてしまったときには、乾燥させると歯の根の表面の歯根膜が壊死してしまいます。
そうさせないようにするためには、生理食塩水や専用の保存液がベストです。
なければ、そのまま抜けたところに押し込むか、口の中に保存するなどして、できるだけ乾燥を避けてください。
もちろん、すぐに歯科医院を受診してください。

歯根膜が生きていると、そのまま歯を植えると(再植といいます)、歯は再び元の状態に戻ります。
ただし、歯髄の血管は切れてしまい、歯髄は壊死してしまいますので、歯髄の治療が必要になります。
根尖の開いている幼弱永久歯などは保存できる可能性があります。

歯根膜が死んでいると、いったんは再植できても、アンキローシスと言って骨と歯が直接結合してしまいます。
そのうちに、骨の細胞が歯を異物と認識して、歯を溶かす細胞を作ります。
そうすると、数年で歯がだめになってしまうのです。
インプラントの代わりに、不必要な智歯などを抜歯して、欠損部に移植する抜歯再植術という方法がありますが、歯根膜の保存がうまくいくかどうかがとても重要なのです。

歯の根の外側には、セメント質という層があります。そのセメント質が歯と歯根膜を結合する役割があります。

歯髄

読み方:しずい

歯髄とは、歯の中にある神経と言っている部分です。
歯冠のほぼ中央部にあり、歯根の中を通り歯根の先から血管から栄養を得たり、神経組織が先の部分につながっていきます。
歯根の先の部分(根尖部といいます。)が、細くなっていることが特徴的です。歯髄自体は,疎性の結合組織からなっています。

虫歯になってしまったり、知覚過敏などの強い刺激があると、歯髄の中に炎症が起きてきます。これを歯髄炎といいます。
炎症の程度が、低いと、刺激があったときに一過性の痛みが発生します。
しかし、炎症が強くなってくると、刺激の後に痛みが長く続くようになってきます。
刺激で起きる痛みを誘発痛といいます。さらに、炎症が強くなってくると、何も刺激がないのにズキズキと心臓の鼓動に合わせるような激痛が発生します。
刺激がないのに痛くなることを自発痛と言います。
歯の中にあり、炎症が強くなってきても腫れることができないためです。
炎症が強くなってくると、歯根の先の部分が細くなっているために、正常な循環ができなくなってしまいます。そのために、歯髄は壊死してしまいます。

歯髄が壊死してしまうと、歯髄の知覚はなくなりますので、あたかも、治ったように感じる場合もあります。
もちろんそうではありません。歯髄が壊死すると、感染していた細菌や炎症を起こす物質が、歯の根の先から出てきます。
こんどは、根の先、根尖部で炎症が起きてきます。そうすると、かんだ時に痛い、響くなどの症状が出てきます。
今度は、根の先の骨の中で炎症が起こりますので、また、耐えられないような強い痛みが出てきます。
ひどく腫れてしまうこともあります。これを根尖性歯周炎といいます。

歯髄は、歯の中の代謝をつかさどっています。虫歯ができると、それに対応して、2次象牙質というものを作って自分を保護しようとします。
しかし、歯髄に炎症が強く出てしまうと、治癒はできませんので、歯髄を取る治療が必要になります。
それを抜髄と呼んでいます。代謝がなくなると、歯は弱くなっていきます。

虫歯治療で、虫歯を完全に除去するのはもちろんですが、その途中でピンスポット的に歯髄が露出してしまう場合があります。
それを露髄といいます。治療前の、痛みの出方、露髄時の出血(炎症が強いほど出血しやすい)、虫歯の状況などが比較的良好な場合は、覆罩(ふくとう:覆髄、直接裏層ともいいます。)処置をすることがあります。
水酸化カルシウムの製材を露髄面に置き、局所の消毒と2次象牙質の形成を促します。

ただし、処置が良好に行っているかどうかは、様子を見る必要があります。しっかり見るには数か月かかります。
処置時点では、100%うまくいく、うまくいかないとは言えないのです。
ただし、歯自体は機能しなければいけません。前歯であれば、見えるでしょうし、奥歯であれば食べ物が噛めなければ、生活に支障が出てしまいます。
予後が明らかに悪い場合は、抜髄になりますが、しないですめばそれに越したことはありません

ですので、露髄した場合、たぶん大丈夫だろうというときには、歯の修復を進めることが多いのです。
もちろん、仮づめをしてしばらく様子を見る場合もあります。

C2の場合、削って詰めるか、インレー処置をするか、1~2回で治療は終わりますが、抜髄した場合は回数が増えてしまいます。
根尖性歯周炎の場合はさらに回数が増えます。

歯髄炎になってしまうと、麻酔が効きにくいことも多いです。
麻酔を追加すると、今度は麻酔が取れた後に、歯ぐきが痛くなってしまう場合があるのです。

インレー処置をした場合、虫歯が深く金属が歯髄に近い場合は、最初は刺激がすぐに金属を通して歯髄に行きやすいのでしみることが多くなります。
(この場合、刺激をしないようにしていただくと、2次象牙質ができてだんだんしみにくくなっていきます。刺激しすぎると歯髄炎になってしまいます。)

虫歯ができたならば、我慢しないで早めに歯科医院へ行くようにしてください。

歯槽骨

読み方:しそうこつ

歯は、上あごの骨、下あごの骨に植わっているのですが、その歯の植わっている部分の骨を歯槽骨といいます。
歯槽骨という骨があるわけではありません。

歯周病になると、歯の周りの組織に炎症が起き、歯ぐきがやせたりするのは、その中の歯槽骨が解けていってしまうからです。
歯が、ダメになって入れ歯を使う場合には歯槽骨が、しっかり残っている方が入れ歯の安定は良いです。
逆に、歯槽骨がほとんどなくなってしまうと、安定の良い入れ歯を作るのが難しくなります。
インプラントは歯槽骨に埋入しますので、歯槽骨の厚みや高さがなければ埋入できません。

虫歯などでも、抜歯になってしまうと歯槽骨がだんだん痩せていってしまいます。
入れ歯を入れていると、歯槽骨がだんだん痩せてくるということはよく知られているかもしれません。
歯がなくなると、それだけではなく骨にも影響が出てくるのです。

歯槽骨を守っていくためにも、虫歯や歯周病の予防をしていきましょう。

スタビライゼーションスプリント
スタビライゼーションスプリントは、顎関節症や歯ぎしりのあるかたに使います。


かみ合わせの面から見たスプリント。犬歯誘導になるように、犬歯の部分がとがっています。



一つ一つの歯にはまるようになっています。



模型にはめたところ。このようにして使います。



スタビライゼーションスプリントの特徴として、 左右均等な接触が得られ,咬頭干渉や早期接触を除去することで咀嚼筋の緊張を緩和し、関節へ過度な 負担を減らして、関節を安定した状態に保ち、治癒の機会を与える.装着部位は、上顎にすることが多いです。

基本的には、プラスチックのかみ合わせの面に、下顎のすべての歯が当たり、側方に動かすときには犬歯誘導になるようにかみ合わせが作成されています。
こうすることで、あごの関節に対するストレスを減らします。
スプリントは入れたからと言って、ぐっと食いしばるものではなくて、やはりリラックスして噛みしめないようにして使ってください。
ちなみに、このタイプのスプリントは、睡眠時に使います。

手入れの方法などは、装着時に指導させていただいています。
歯ぎしりによって、歯をすり減らさないように、すり減る材料で作っていますので、消耗尾品とお考え下さい。
(力のかかり具合によっては、割れてしまうこともあります。)

また、歯ぎしりをする方が、自分の歯をすり減らしたり、かけさせたりすることを予防することにも使えます。
セラミッククラウンを入れた場合にも、使うことができます。
ステファンのカーブ


虫歯の成り立ちをわかりやすく説明します。

皆さんのお口の中では、歯の脱灰と再石灰化が繰り返されています。
脱灰というのは、歯のカルシウム分が溶け出してしまうことです。

再石灰化とは、溶け出してしまったカルシウム分が、再び歯に戻ることを言います。
脱灰の原因は、唾液が酸性になることです。酸性になると、歯からカルシウム分が溶け出していきます。
逆に、唾液が弱アルカリ性になると、溶け出したカルシウム分が歯に戻っていきます。

ところで、唾液には緩衝作用というものがあり、唾液のPH(酸性度、アルカリ性度)を、一定に保つ作用があります。
重炭酸塩という成分がその役割を主に果たしています。

ところが、糖分がお口の中に入ると、虫歯菌がそれを分解し、酸を産生します。
そのため、唾液のPHは急激に下落(酸性になる)します。そのPHが5.5以下になると歯の脱灰が始まるといわれています。

その後、唾液の緩衝能によってゆっくりと弱アルカリ性に戻っていき、再石灰化が始まります。
下がるときには急激に、上がるときはゆっくりと思ってください。

1日で考えてみましょう。朝昼晩と食事をして、その間に何も食べなければ、再石灰化の時間はかなり多くなります。
しかし、ちょっとずつでも(特に)糖分を取っていると、あっという間に酸性になってしまい、回数が増えるほどずっと脱灰される時間が続き、再石灰化ができなくなってしまいます。



A君はおやつも食べていますが、脱灰になる時間よりも、再石灰化の時間の方が長いので虫歯になりにくいということが言えます。


それに対して、B君はちょこちょことお菓子を食べているために脱灰する時間の方が、再石灰化の時間の方が長くなってしまいます。
B君の方が虫歯になりやすいということができます。

ほんの少しの糖分でも、虫歯菌にとっては、食べきれないほどの十分な量になります。
人の感覚では、ちょっとくらいなら…と思うかもしれませんが、虫歯菌にとっては、虫歯と作るのに十分な量になります。
砂糖入りのドリンクでも同じことです。おやつなどは、量よりも回数を考えて取るようにしましょう。

また、虫歯菌の量も関係してきます。
いくら食べても、お口の中に虫歯菌がいなければ、虫歯になりません。
逆に、虫歯菌が多ければ作られる酸の量も大きくなりますので、より虫歯ができやすくなります。

虫歯菌は、多糖類を使ってねばねばした成分を作り歯に付着しやすい状態を作っています。
これをバイオフィルムといいます。

栄養成分がなくても、その多糖類を分解して酸を作り出すこともできます。
ねばねばした白い歯垢がべったりついて状態では、虫歯が発生しやすいのはそのせいもあります。
から磨きでも大丈夫ですので、しっかりとブラッシングをして虫歯菌の数が少なくなるようにしていきましょう。

象牙質

読み方:ぞうげしつ


象牙質は、エナメル質の内側にあり、歯の本体を形作っている部分です。

象牙質は硬組織の成分である無機質(ハイドロキシアパタイト)が70パーセントで、残りはコラーゲンなどの軟組織でできており、弾力性や柔軟性をもつので、エナメル質の衝撃などによる破折を防ぐことができます。(硬いエナメル質は割れやすいとも言えます。)

モース硬度は5~6でエナメル質よりも柔らかいです。

また、色は少し黄色みのある名前の通り象牙色で、加齢と共に色は濃くなっていきます。
エナメル質は半透明なので、内側の色が透けます。歯の色が年齢とともに黄色くなることや、歯ぎしりなどで歯が削れて黄色く感じるのは、エナメル質が削れて内側の象牙質が見えてしまっているためです。
また、歯ぐきがやせて、歯の根が露出してしまった部分が色が濃く見えるのもそのせいです。

無機質分がエナメル質よりも低いので、酸に対してはエナメル質よりも弱いです。
一度虫歯になってしまうと、歯の中でどんどん進んで行ってしまいます。

象牙質には象牙細管という細い管が通っていて、知覚があります。
虫歯ができると、冷たいもの、熱いものがしみてきたり、食べ物が当たると痛くなるのは知覚器官があるせいです。

もし虫歯ができた場合、痛くなる前に直した方がはやく、楽に治療を受けることができます。
絶対に放置しないでください。

即時義歯

読み方:そくじぎし

即時義歯とは、抜歯と同時に義歯を入れることのできる治療法です。

基本的には、歯を抜いて傷が治った後に型を取って作っていくのが入れ歯の作成方法です。
しかし、同時に何本もの歯が抜歯になってしまう予定になり、いわゆる仮歯も作ることができない場合は、傷が治るまでずっと待たなくてはいけないのでしょうか?

現在は、やはり前歯などないと、社会的にも問題があるでしょうし、しっかり咀嚼できなければ栄養の問題が起こる方もいらっしゃいます。
抜歯をして、すぐに型取りをして入れ歯を作り出しても、2~3週間の期間がかかるのです。
(歯科医院に技工士さんがいて、すぐに作ってくれるのならば2~3日でできる場合もあるだろうとは思います。
加藤歯科医院もそうですが、ほとんどの歯科医院さんは義歯の作成は、技工所さんにお願いする外注だと思います。)

そのような問題を解決するために作るのが即時義歯になります。

即時義歯とは、抜歯をする前に、型やかみ合わせを取って、抜歯をしたら歯ぐきはこのようになるだろうと予測をして作る入れ歯になります。
抜歯をした日に、すでに入れ歯ができていれば患者さんも安心だろうと思います。

利点は、すぐに入れることができるということです。加藤歯科医院では、多くの方が利用されています。

欠点は、予測をして作るので、適合がいまいちになる場合があることです。
また、歯がぐらぐらしている状態の方の場合は、かみ合わせが不安定になりやすいということもあります。
きちんと作った入れ歯が100点だとすると、即時義歯は65点から90点くらいになるのではと思います。
しかし、それでも前歯などが長期間なくなるよりはましと考える方がほとんどです。

痛いところ、かみ合わせの悪いところは調整していきます。
抜歯後、歯ぐきがやせてくると、入れ歯との間に隙間ができてきますが、それもリベースという方法で修正できます。
それで何とか、6か月使っていただければ、保険でも新しく入れ歯を作ることができますので、現在のお口の状態に合わせた入れ歯を作ることができます。もちろん、慣れてしまって気にならなければずっと使っていただくことも可能です。

歯が悪くなったけれども、歯がなくなるのは困る。どうしたらいいんだろうと、心配されて歯科医院へ行くのが遅くなってしまい、苦労される方がいるかもしれません。即時義歯という方法もあるようだよと、これを読んだ方が教えていただければと思います。

知覚過敏

読み方:ちかくかびん

歯周病などで歯ぐきがやせると、歯の根が露出してきます。
歯の根にはエナメル質がないので、象牙質が直接出てしまうことになります。
象牙質は、知覚器官がありますので、触ったり冷たいものの刺激などを感じやすくなります。それが知覚過敏です。

また、アブフラクションと言って、噛む力が強い型の場合、エナメル質や象牙質の構造が崩れて、歯に深いくさび状の欠損ができる場合おあります。
その場合も、知覚過敏が起きやすくなります。

治療には、しみる部分の知覚を鈍麻させるような薬をつけることがおおいです。
ただし、その部分を硬い粒の入った歯磨き粉でごしごし磨いてしまうと、薬の成分がとれてしまい、またしみやすくなるなどの悪循環が起こることがあります。
しみている部分は、あまり歯磨き粉をつけずに、縦磨きにした方が成績が良いようです。

残念ながら、さっと塗ったらぱっと効くというような、即効性のある知覚過敏の薬はないようです。
患者さんによって効きやすい薬が違うようですので、加藤歯科医院では手に入るいろいろな薬を準備しています。その中から、患者さんに合った薬を選択しています。

薬で落ち着かない場合は、表面を詰めてしまうこともあります。
CR(コンポジットレジン)治療です。一気に楽になる場合もありますが、CR下部分の根本側にまた知覚過敏が起きてしまうこともあります。
硬い粒の入った歯磨き粉を使い、強いブラッシング圧の方は、CRをはがしてしまったり、その根元の歯根を削ってしまうからです。

しみ方が強い場合は、できるだけ刺激を与えない方が良いです。
時々しみても、時間がたつと神経の周りに2次象牙質ができてくると、だんだん気にならなくなる場合があります。
しかし、刺激を与えすぎると、神経が不可逆的な炎症状態になってしまう場合があります。
しみた後、痛みがズーンと残ってしまう。その時間がだんだん長くなる。
やがて、刺激がなくても、夜間などにズキズキと痛くなってしまうという、歯髄炎の状態になります。

薬をつけ、刺激を避けていただき、自然に気にならなくなれば一番良いのですが、知覚過敏が日常生活に問題を起こす場合もあります。
薬をつけても治らない場合は、抜髄(神経を取る治療)を選択することもあります。

ティッシュコンディショナー
入れ歯の調整に使う、粘膜調整剤とも言います。

合わない総入れ歯などを入れていると、特に上の前歯の歯ぐきの中の骨が急速に痩せてしまい、残ってしまった歯ぐきが、ぶよぶよになってしまうことがあります。
これをフラビーガムといいます。
こうなると、骨の支えがなくなりますので、かむたびに入れ歯が沈み込み、動いて安定しなくなります。
痛みを伴う場合もあります。

そのような歯ぐきの状態のときに使うのがティッシュコンディショナーです。
入れ歯の内面に、ぬってつかっていただきます。
柔らかい状態のティッシュコンディショナーが徐々に適度な硬さになって、歯ぐきの状態を改善していきます。
数回繰り返すことで、フラビーガムが改善した段階で、新しい入れ歯を作っていきます。

加藤歯科医院では、最初柔らかくて徐々に適正な硬さになっていくティッシュコンディショナーの性質を利用して、コンフォートを作るときの型取りの材料として使っています。
お口のいろいろな運動に合わせて変形していきますので、これをつけながら使っていただくことで、①痛みが出ずに、②入れ歯の安定が良くなり食事中にも物がはさまりにくくなる(入れ歯が吸い付く)ように調整することができています。

本来の使い方と、ちょっとずれますが、良い入れ歯づくりには欠かせない材料です。

ナイトガード
夜に寝ている間の食いしばりや歯ぎしりによって、歯が痛むのを防ぐ目的があります。
寝ているときに、食いしばる場合には自分の体重の2から5倍の力がかかるといわれています。
しかも、平均的にかかるのではなく、特別な歯1本に集中してかかる場合もあるのです。

私自身、北大歯学部の医局にいたときに、教授から咬合力の診査をするので、この装置をかんでみてと言われ金属の咬合力計を、使ったことがあります。
数値が低く、もっと頑張ってみてと言われ、思い切りかんだところ50キロ以上の力が出ました。
ただし、そのあとで、口の中にぼろぼろとしたかけらが取れてきました。
そうです、その力でインレーという金属が入っている自分の歯を、割ってしまったのです。
神経が生きている歯なので、そんなに弱い歯ではなかったのですが、力が集中してしまったのでしょう。

力の怖さを、身をもって体験したわけです。
寝ているときには、無意識にもっと強い力が出るようですので、それが一つの歯に集中すると歯が割れてしまうことも、容易に想像がつきます。
歯科医院で新しく歯を入れた場合、無意識のうちに違和感解消のために、ぐっと食いしばることもあるのではと想像します。
それで、歯が取れてしまったりする分にはまだやり直しがききますが、歯が割れてしまっては手の施しようがありません。
抜歯になってしまいます。いままで、1度だけですが、神経が生きている奥歯を、まっぷらつに割ってしまった患者さんもいらっしゃいます。

夜中に、ふと目が覚めたら、ぐっと食いしばっていたという方もいらっしゃるようですので、気が付かないけれども意外と多くの方がやってらっしゃるのかもしれません。

私も、危ないかもと思われる方は、お気軽にご相談ください。作って入れてみれば、すり減り方や穴の開き方で、寝ているときの様子が分かります。

ナイトガードは、硬いプラスチックの素材(スタビライゼーションスプリント)のほかに、口に優しい柔らかい素材のものも使うことができます。
その方が、寝やすいようです。

ハイドロキシアパタイト フルオロアパタイト
ハイドロキシアパタイトは、歯や骨の主成分です。
エナメル質では97%、骨では65%がハイドロキシアパタイトになります。

ハイドロキシアパタイトは化学式Ca10(PO4)6(OH)2 で示される塩基性リン酸カルシウムで、天然には骨や歯の主成分として、また鉱石として存在し、高い生体親和性を示すことが知られています。

脱灰反応 ハイドロキシアパタイトは酸によって最終的には次のような反応によって完全に脱灰される。
Ca10(PO4)6(OH)2 + 8 H+ ⇄ 10 Ca2+ + 6 HPO4 2- + 2 H2O

歯の表面は「ハイドロキシアパタイト」という結晶でできていますが、フッ素を取り込むことによって「フルオロアパタイト」という結晶に変わります。
Ca10(PO4)6F2こちらの方が酸に強いのです。むし歯になりにくくなるということです。

非歯原生歯痛

読み方:ひしげんせいしつう

歯が原因でなく起こる歯痛です。
歯の痛みを訴えて受診した人の約3%が、非歯原性歯痛だといわれています。


1.筋・筋膜性歯痛:
筋・筋膜性歯痛は、食べ物をかむときに使う筋肉(そしゃく筋)や首の筋肉と、これらの筋肉を覆う筋膜の痛みが原因で起こる関連痛です。


2.神経障害性歯痛:
神経障害性歯痛は、神経障害性の疼痛が原因で起こる歯の痛みです。2つの種類があります。ひとつは発作性で、三叉神経の痛みが原因で起こる激痛です。もうひとつは持続性で、代表的な原因として帯状ほう疹や帯状ほう疹の後遺症による神経痛があります。神経周囲の炎症や腫瘍、骨折によって、神経が障害されることが原因となる場合もあります。


3.神経血管性歯痛:
頭痛の関連痛として起こる歯の痛みです。


4.上顎洞性歯痛:
上顎の骨の中にある副鼻腔の空洞に、炎症や腫瘍があって起こる関連痛です。


5.心臓性歯痛:
狭心症や心筋梗塞、心膜炎などの心臓の病気が原因で起こる関連痛です。


6.精神疾患または心理社会的要因による歯痛:
不安や気分が落ち込む抑うつといった、心理社会的要因が背景にあって起こる歯の痛みです。いわゆる心因性の歯痛です。


7.特発性歯痛:
さまざまな検査をしても原因がわからない歯の痛みを特発性歯痛と呼びます。


8.その他のさまざまな疾患により生じる歯痛:
巨細胞性動脈炎や悪性リンパ腫、肺がんなど、病気が原因で起こる歯の痛みです。
患者さんにしてみれば、たいていの歯痛も何が原因であるかよくわからない場合がほとんどだと思います。歯が痛くなるには、それなりの原因や症状があります。
状態を診させていただいて、必要な場合に処置をしていきます。
もちろん、そのほとんどが歯科医院でも処置が必要な場合なのですが、上記のようなこともあるのです。
しっかりと診断をつけて治療をしていくことが必要になります。

フラップオペレーション
歯周病治療における外科処置のひとつ。
通常、「フラップオペ」ということが多いです。

SRPでは、歯周ポケットの中に器具を入れて盲目的に歯石を探り除去しています。
歯周ポケットの中は見ることができませんので、肉眼的に除去の確認ができません。
そのために、歯石の取り残しの可能性が常にあります。

フラップオペレーションでは、歯肉を切開することで見えない歯根をみえるようにして、処置をしていきます。
そのため、歯石取り残しのリスクはほぼ0にできます。

フラップオペレーションは、大きく分けて2つのタイプに分かれます。
1つは、手術時に歯肉の切除を積極的に行う手術です。物理的に歯周ポケットを取ってしまいます。
この場合、歯周ポケットは浅くなりやすいですが、術後の痛みなどは大きいです。

場合によっては、骨を削る必要も出てきます。
前歯などは、審美性がかなり悪化してしまいます。
術後のしみやすいなどの不快症状も出やすいです。
1つは、歯石の除去をメインとして歯肉の切除は積極的の行わない手術です。
最初の手術に比べると、歯周ポケットの残存率は高くなりますが、激しい歯肉の退縮や、しみるなどの不快症状がでにくくなります。

いずれの手術をおこなっても、術後のブラッシングをしっかりしなければ、さらに歯周病は進んでしまいます。
術後のブラッシングは、2番目の方がやりやすいです。
その点を考えて、加藤歯科医院では基本的には、あまり歯肉の切除を行わない方の術式を選んでいます。

あなたのお口のお悩みご相談ください

加藤歯科医院Kato dental clinic

〒065-0030 札幌市東区北30条東7丁目3-18

TEL:011-722-8020

受付時間
9:00~13:00
14:30~19:00

診療時間 / 午前 9:00 - 13:00 午後 14:30 - 19:00(土曜は午前のみ)

休診日 / 土曜午後・日曜・祝日

© 2024 Kato dental clinic.